IFSの中で登場するパーツとは一体何なのか?
私たちの心の中にはたくさんの思いがひっきりなしに浮かんでは消え消えては浮かんでいます。人は一日約6万回もの思考をしていると言われています。
例えばこんな感じに
「眠いから今日は仕事を休んでしまおう」
「いやいや、今すぐ起きて会社に行かなくちゃ」
「あの人、私のこと嫌っているのかな?」
「人間関係がめんどくさいなぁ・・・」
「また失敗した・・ほんとにダメな私」
これらの思いは一人の自分のものではなく、複数の自分が発している声なのです。
その声の主をパーツと呼んでいます。
複数の自分がいると言うとちょっと驚かれるかもしれませんね?でも実際にみなさんも経験があるのではないでしょうか。対立する2人の自分が言い合いをしていたり。うまくいったと安心していると、不意にダメ出ししてくる自分がいてうんざりしたことはありませんか?
IFSの視点からみたパーツは、私たちの安全を守ろうとして働いてくれている大切な存在です。人前で恥をかいて傷つかないように「引っ込み思案にさせるパーツ」、もめ事に巻き込まれないように「絶対に自分の意見を言わせないパーツ」、人に馬鹿にされないように「勉強をがむしゃらにさせるパーツ」、昔の嫌なことを思い出さないように「記憶を消すパーツ」など。もちろん「人生を楽しませてくれるパーツ」や「私を応援してくれるパーツ」もいます。
彼らは私たちにより良い生活させるために行動しています。これらのパーツを防衛パーツと呼んでいます。
お酒を大量に飲ませたり
大切な人間関係をぶち壊したり
嘘をつかせたり・・
このように一見良くない行動(幼すぎたり、過激すぎたり)をとらせるパーツもいますが全て善意からしているものなのです。
例えば仕事をしたいと願っている自分がいるのに朝からお酒を飲ませるパーツがいたのでは善意どころか自分の味方になってくれているとは思えません。またお酒を飲ませるパーツを批判するパーツも出現しこの2つのパーツの間で言い争いが始まることもあります。では一体朝からお酒を飲ませるパーツにはどのような意図があるというのでしょうか?
それは「お酒を飲んでつらい仕事を休ませたい」という思いやりだったり「これ以上我慢していたら精神が壊れてしまう」という不安だったり「つら過ぎる感情をダイレクトに受けとめないように」という心配からだったりするのです。つまり過去に耐えがたいつらい経験をしており、ふたたび同じ感情に圧倒されてしまうのではないかという心配をしてくれているのです。つらい感情を味わうよりお酒を飲んで回避させようという方法を選択させるのです。
もちろん、このようなパーツの行動を私たちは排除したい気持ちになったり嫌悪感を持つのは当然のことです。
お酒を飲ますパーツがいなければいいのに
無気力にするパーツさえいなければいいのに
このようにパーツを嫌えば嫌うほど、無視すればするほどそのパーツは過剰な行動をやめなくなります。それはパーツたちも私たち人間と同じ感情をもっていて否定されれば反撃するからです。良かれと思ってやっているのに否定されたり理解されないことへの怒りや悲しみを感じているのです。IFSではすべてのパーツを歓迎する姿勢でセラピーを行っています。彼らは一番大変な役目を引き受けてくれているととらえているからです。
防衛パーツはエグザイル(インナーチャイルド)を隠して誰にもみせないようする看守のような仕事をしています
防衛パーツは幼い頃に傷ついたエグザイルが二度と同じ目に合わないように、同じ感情を味わうことがないように頑丈なお城の中に閉じ込めています。そのお城というのは潜在意識の中にあります。意識の深いところにいるので普段の生活では気付けない領域になります。
エグザイルは防衛パーツに守ってもらってはいますが、隠された状態ではいつまでたっても心の傷は癒されません。
癒されないエグザイルがいる限りお城の看守仕事は続きます。
参考書籍:「悪い私」はいない リチャード・C・シュワルツ





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