発達性トラウマ

発達性トラウマとは

幼少期の慢性的なトラウマによって生じる心身の不具合のことを「発達性トラウマ」と呼びます。

親(養育者)が子供の心を傷つけるような言葉を繰り返したり、体罰や無視、過保護、過干渉で支配することで、子供の心に恐怖心や、無力感を植え付けます。
また常に否定されることで、「私はダメな人間だ」「価値がない」など歪んだ自己像をつくっていくことになります。
そのような家庭で育った子供は「ここは安全ではない」と感じ、神経系が常にサバイバルモードで警戒し、子供らしい伸びやかさを失ってしまいます。



大人になって生きづらい人の中には
「私の親は私を大事に育ててくれた」「虐待されなかった」「依存症の親ではなかった」
このように親に対して感謝の気持ちや、親を良く思いたい気持ちがあります。
ごく普通の家庭であっても、親が子供の気持ちを無視したり、傷つくような言葉や態度が継続してあった場合は、適切な養育をうけられなかったことになります。
自分が安心してそのままの自分でいいと思えたか?
それが許される家庭だったか?それを知ることが大切です。

発達性トラウマになったのはすべて親(養育者)が悪いからという訳ではありません。
親が病気で養育ができなかったり、不幸にも親が亡くなってしまった場合や、経済的事情から子供を育てることが困難なケースもあるからです。


どんな家庭で育ったかを知るというのは、自分を作っている土台を知るためのプロセスのひとつです。親を悪者にしたり、親を責めるためのものではありません。

あなたはどのような家庭で育ちましたか?

不適切養育者(マルトリートメント)に育てられた子供が発達性トラウマを負うということが多いと言えます。
では不適切養育者とはどういう人のことを言うのでしょうか?
花丘ちぐささん(その生きづらさ発達性トラウマ?)の著書によれば、下記のような人を不適切養育者と呼んでいます。

不適切養育者の例

〇思いやりのない言葉がけをする
〇子供に手をあげる(体罰を与える)
〇子供の友人関係に介入する
〇子供の好みや服装などに介入しすぎる
〇過干渉で子離れできない
〇固定的な言動が多い
〇抑うつ的で子供のニーズに応えない
〇過度の心配性
〇必要なケアをしない
〇無理に頑張らせる
〇子供に大人の愚痴を聞かせる
〇勉強を強要する・脅かす
〇きょうだいを比較する
〇倹約の度が過ぎる
〇子供の夢を否定する
〇子供に性的な関心を持ち言動に表す
〇きょうだい間の加害行為に介入しない

*参考文献
その生きづらさ、発達性トラウマ?ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント 
花丘ちぐさ著

大人になってから

人からどう思われているかが気になり、警戒モードがオフになることはありません。
そのため人とのコミュニケーションがうまくいかず、友人やパートナーとの関係でたびたび問題が起こります。
身体は過剰に緊張しているせいで、神経系の不調から息苦しさや身体が重い、肩こり頭痛などの症状が現れます。
長年、自分より人の気持ちを優先してきているので、自分というものがありません。
自己価値が低く、自尊心も低いまま大人になります。
しかし、このように誰かに植え付けられた、自分を傷付けるような価値観は変えることができます。

カウンセリング・セラピーでできること

つらかったシーンを無理に思い出す必要はありません。
トラウマに取り組む前に自律神経系の調整を行います。ソマティックなアプローチを行い、自分の中に安全基地を確保してから、ゆっくり自分の内側に向き合います。
混乱していた思考の整理や、自分の中にあった様々な感情を確認していきます。
幼くて何も対処できなかった自分と対話しながら、大人の自分が力を貸して過去から助け出します。
セラピーは、トラウマの再体験をしないように安全にすすめていきます。

レモで行うセラピー ソマティックとは

ソマティックとは、身体は心に影響を与え、心は身体に影響を与えるという考えです。
身体と心の一致ができてはじめて、私たちは回復することができます。
レモのセラピーではこの両面からアプローチを行っています。
神経生理学者のピーター・ラヴィーンの「身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシング」による最新のトラウマ・ケアの中で書かれているように、内臓のほうが脳に対する発言力があり、その割合は9:1になるのです。つまり、脳より身体のほうがあなたを良く知っているのです。